秋田市の温泉ホテル「秋田温泉さとみ」(手塚鋼社長)は11月1日から、介護事業のコンサルタントSSDジャパンと提携し、要介護の高齢者向けのデイサービス事業を始めた。温泉ホテルでデイサービスを行うのは東北地方では同館が初めて。
同館は秋田市の郊外にあり、宿泊客専用の本館と、日帰り入浴施設を備えた別館を営業している。デイサービスに利用するのは別館の2階で、施設内に高齢者用エレベーターや車椅子用のトイレを新設するなど施設を改装した。
2階の大広間はもともと、修学旅行などに利用していた。今回、和室部分を含めて約210平方メートルを食堂兼機能訓練室として使う。受け入れは基準上、1日70人まで可能だが、今回は1日30人定員とした。
専任スタッフは看護師など約10人を新規採用。約1カ月の研修により、旅館・ホテル型ホスピタリティを徹底するとともに、介護実務を習得。「旅館・ホテルのおもてなしで介護サービスを行う」という意思の徹底を図った。
「温泉は天からの授かり物。昔からこの土地にある温泉ホテルとして、地元への貢献として何ができるか考えていた」(手塚社長)との思いから、地元高齢者に温泉と旅館料理を楽しんでもらう介護サービスを提供することにした。
利用者を旅館・ホテルの顧客として扱うスタイルが「従来の会社福祉型デイサービス施設ならば行きたくない」と考える利用者の共感を呼び、開始早々から順調な申し込み状況だという。
旅館・ホテルでのデイサービス事業は、低稼働施設、低稼働時間を利用して、地元の介護保険適用者をリピーターとし、介護保険料など安定した収益をあげる事業として、新たなビジネスモデルとなっている。
秋田温泉さとみでは、利用者が高齢化する中で、シルバー世代への対応を深めることにより本館との相乗効果を狙っている。